実は元・美術館学芸員のすーさんのお気に入りの作品をご紹介。
小堀四郎《無限静寂》(1977年, 世田谷美術館蔵)
はまちゃんに続く、星の話題。星空を描いた絵のご紹介です。
確か、詩人の谷川俊太郎さんの言葉だったと思うのですが、
「空は、昼の青空は化粧をした姿。夜の星空がすっぴん、真実の姿なんだよ。」
という表現が気に入っています。
「満点に輝く星空」と聞けば、キラキラとおしゃれをしている豪華なイメージもあるかと思います。
ですが、私にとっては「暗闇に浮かぶ小さな点の数々こそが、隠すことのない空の姿」
というイメージのほうが、感覚にしっくりとくるのです。
飾ることのない、小さな星の瞬きを見ていると、見ている私も、素直な気持ちにさせられます。
優しい、祈るような思いが自然と湧いてくるのが不思議です。
そんな、私の心にある星空とぴたりと重なったのが、
小堀四郎さん(1902-1998)の《無限静寂》という作品です。
2m近くある大きな絵画なのですが、1枚だけでなく、3枚セットなんです。
夕暮れ、深夜、明け方の3つの空に浮かぶ星々が描かれています。
空を圧倒するような無数の星々というよりは、
ぽつん、ぽつんと小さな星がひっそり描かれているだけなのですが
絵の前にして感じる、包まれるような優しさが魅力的なのです。
築地カトリック教会に祭壇画として飾られていたというのも納得です。
今は、東京にある世田谷美術館に収められています。
いつでも飾られているわけではありませんが、展示されているよ、と話を聞くと、会いに出かけます。
ちなみに、初めてこの絵に出会ったのは愛知県の豊田市美術館でした。
作品の画像をここでご紹介することはできませんが、
気になった方は、インターネット検索してみてください☆
作品との出会いも一期一会だなあと、よく思います。
絵なんて興味ないよ、と思っている方も、突然心つかまれる出会いがあるかも!?
藤川(すーさん)