名栗の森を歩くと、自然は日々変化していることに気付きます。1週間も歩かずにいると、そのあまりの変化に驚くほど。
また、毎年決まって同じ時期に会える生き物に出会うと、「今年もこの季節が来たんだなぁ」って、何だか嬉しくなります。
そんな“旬”の自然情報を、少しずつ皆さんにお届けしていきます。
この時期の森を歩いていると、草の茎に10円玉くらいの泡が付いているのを見かけます。
「カラスのつば」と呼ばれるこの泡、確かにつばに似ていますが、カラスがつばを吐くなんて聞いた事ないですよね。
泡の中を探ってみると、小さな昆虫がいました。その名も「アワフキムシ」の幼虫です。
アワフキムシはセミの仲間で、成虫になると空を飛びます。幼虫のうちは羽がないため、草の汁で泡を作って天敵から身を守っています。泡には粘り気があって、少々の雨では流れないようになっています。
正門の近くにある調整池(水を綺麗にするところ)からは「キョロロロ、キョロロロ」という鳴き声が聞こえてきます。
「モリアオガエル」のオスが、求愛のために鳴いているのです。
これは去年、偶然産卵シーンに出会った時に撮った写真。
小さい方がオス、大きい方がメスです。最初はビックリしていた様子でしたが、安全だということがわかると引き続き産卵を開始しました。
卵の周りの粘液を、オスが後ろ足でかきまぜて泡にします。やはり粘り気があって簡単には落ちませんが、雨が降り続く頃になると孵化したオタマジャクシと一緒に池に落ちます。
季節はもうすぐ梅雨。
雨の日の森はうっすらと靄がかかり、しっとり濡れた木の葉の緑が綺麗です。森はコアジサイのかぐわしい香りで満ち、水辺の動物たちが活発に活動する季節でもあります。
森歩きに最適なこの季節、名栗の森でお待ちしています。
鈴木宏紀(うーたん)